映画の話

映画 覚え書き

河内カルメン

冒頭の野上由美子が薔薇を加えて自転車で坂を疾走するシーンは相米慎二の魚影の群れの冒頭の夏目雅子が自転車で坂を疾走するシーンを連想させる。その夏目雅子中山美穂を彷彿させるロングスカート スケ番系の野上由美子が開始5分くらいでいきなりレイプされ山に捨てられる。レイプされる映像も一切なく、上京理由を説明する為のコマ以外にまったく意味をもたない山中でレイプされた直後だけ見せる夏の甲子園が終わったみたいなノリのシーン。みたいなのがこの映画における清順のフェミニズム。令和のポリコレなど無視した旧日本軍人の視点でみる女性讃歌。デリケートさと荒々しさである。 この後、2代目ボンボン社長の多額の負債をかかえた倒産やその借金の形に売られる野上由美子。野上由美子に貢いでヒモになる元エリートヤンチャ銀行員が芸能界デビューで野上由美子に捨てられるシーンなど、全て、大した事もないような高校球児の爽やかな日常風景として描かれる 川地民夫の業界人。和田の2代目ボン社長。など、不思議な詩的リアリズムに満ち、アイドルという存在が企業ブランドに呑み込まれる以前のアイドルという概念を模索していた時代の谷口六郎が描いた夕焼けアイドル映画。みたいな感じがした