映画の話

映画 覚え書き

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

10月4週目の映画の総括

内田吐夢の吉原妖刀 から 衣笠の白鷲 堀川弘道の黒い画集。と、どんどん映画の夢や理想の世界から現実へと引き戻され黒い画集で小池朝雄がキムタク二似の大学生を浜辺でボコボコにするシーンでは「楽してお金を稼ぐ事に慣れるんじゃねえぞ」と自分が怒られて…

エーガ界に捧ぐの感想文1

自分は、中村登の夜の片鱗や中平康の女の渦と淵と流れや昨日観た内田吐夢の妖刀物語花の吉原百人斬り、川島雄三の花影、木下恵介 今年の恋。や仲代達矢の「最後の審判」「華麗なる一族」「永遠の人」などの映画を思い出し時節、無茶苦茶に号泣してしたりしな…

ことの次第

ことのしだい。冒頭のダフパンク的SF映画は処刑の丘からルイズブルックスのパンドラの箱を連想させる軽蔑ーそのゴダールの軽蔑の撮影風景を映画にしたジャックロジェのパパラッチ。ーその構図と同じカットの吉田喜重の女のみずうみに繋がっていくところが気…

黒い画集〜あるサラリーマンの告白〜

期待していなかったが、かなり見応えがあった。最初ノイズ程度だった画面上の無数の点ー大企業サラリーマンの人の群れや高層ビル群の無数の窓がどんどん振動がデカくなって、湘南で太陽族大学生が歌い踊りいちゃつく夕方の海岸でイカサマ麻雀の返済を理由に…

白鷺

この映画の素晴らしさは、どこまでも薄っぺらくて浅くて安い理想主義にゾッとしつつ、その軽薄さを幽玄(ゆうげん)?みたいな映像美で見せているところだ。だから、グロい表現のないホラーというか。 佐野周二の下品な金持ち役に限らず、ほとんど全てのキャラ…

妖刀物語〜花の吉原百人斬り

内田吐夢という事で、どエロ黒い話かと思いながらホラーばりの蚕機織り工場の千手観音っぽさや屋形船と花魁ダンサーズが交錯する水平移動のシーンに度肝をぬかれる。 木村功の長渕剛ぶりaka 鼠先輩!と思いながら性盗鼠小僧ばりの立ち回りを観ながら水谷良重…

ジョナサンデミについて

フランス映画は影の軍隊などのように、全て暗殺して歴史の闇に葬り去る事がカタルシスなのだ。 確か渋澤龍彦の夢のかけらにもファラオの墓と秘密結社とユダヤ教の比喩をフランス文學から抜粋した一文の切り抜きがあったが、あれはナチスとレジスタンスの話に…

10月3週目の映画の総括〜フランス映画とアメリカ映画

アメリカ映画のジェイムズディーン理由なき反抗やジャイアンツ、夜の人々。kidsなどをみると、若者のナイーブさ、繊細さ=弱さ。として神話が作られているが、フランス映画の情婦マノンや僕の小さな恋人たちを観ると、若者のナーイブさ=理屈っぽい。みたいな…

僕の小さな恋人たち

最初、柔らかい光りに包まれた画面の中にイタリアンホラー映画特有の猟奇的耽美的な不安定な形と色が次節かいまみえておおいに期待をつのらせた割には、わりと普通の風靡の少年や台風クラブに似たロリコン通過儀礼 青春映画だった。 ブレッソン的禁欲的演出…

反逆のメロディ

反逆のメロディ観ながら、 2〜3時間前に睡魔と闘いながら詰まらないなーと思ったマイプライベートアイダホがフラッシュバック。フォードの太陽は光り輝くやリバティバランスを撃った男。クロネンバーグのデッドゾーンまたはドンシーゲルの2丁拳銃。殺人者。…

マイプライベートアイダホ

若い頃、なにやら面白サブカル映画として鑑賞した映画であったが、今 映画館で30年ぶり?くらいに再開してみるとお洒落というには余りにも冗長過ぎるゆるキャラ映画であった。途中 何度も睡魔に襲われながら、なんとなく俺も若い頃スケーターやバイカーみた…

女体/増村保造版

オープニングの浅丘ルリ子のクロッキー画像で埋めつくされた画面構成にどこか病的な呪術めいた如何わしさを感じたが、これは増村保造が浅丘ルリ子という女優の魅力をどこまで引き出せるのか?といった増村保造の決意表明なのか?と意気込みを感じて、ど頭か…

浮雲

いまさら、名作中の名作 成瀬の浮雲かよ...といった感じでテンション低めで見始めたものの、完全にヒッピー転落ムービー〜ロンググッドバイや冬の旅〜の系譜としてめちゃくちゃ引き込まれてしまった。クロムハーツを身に付けヨガを語る鶴太郎そっくりの森雅…

マリリンとアインシュタイン

映画を観ている間はグダグダで途中寝落ちしかけたが、ラストで全てがひっくり返って繋がった。 川島雄三の「とんかつ大将」とか森繁の「スバラヤ殿下」みたいなゆるゆるのホームコメディ調のドラマをホラーテイストにしてるような表現の切り口にめちゃくちゃ…

ママと娼婦

怪物→地に堕ちた愛→ママと娼婦。で久々にマリーネディトリッヒ花びら大回転という感じだった。 とにかくジョンピエールレオの見た目が悪そうでめちゃくちゃカッコいい。その割にいつもながらのトリュフォー作品つうかそれ以上に中身が酷く軽薄で頭も良いんだ…

地に堕ちた愛

久しぶりのジャックリベット。今回も流石の大寺さんのチョイス。と言いたいところだが、時間を間違えて最初の30分ほどを見逃してしまうも、是枝監督の怪物以上のメディアミックス舞台劇というか、途中の冷戦平和時代の司法書士「怪物の三島由紀夫の金閣寺」…

シュトロツェクの不思議な旅

ヘルツウォーク特集をいくつか観て、そのニュージャーマンシネマというべき詩的リアリズムにどっぷりハマっていたところに、この作品を観て、初期のガスヴァンサントの瑞々しいカメラワークの生っぽい素晴らしさを既にこの時代に先取りしていた事にとても興…

花咲く港

まさか木下恵介、初監督作を観ながらプイッカルドや華麗なる一族がフラッシュバックしてくるとは思わず... 太平洋戦争最中に撮影された映画であるにも関わらず太平洋戦争を一大造船 鉄鋼詐欺事業にシンクロさせる木下恵介の胆力と発想に驚かされるとともに、…

フィッツカルド

フィッツカルドを見ながら、西武劇の発展がハリウッドメロドラマになっていく歴史的過程とドンシーゲルの2丁拳銃やフォードの3悪人に見られるナイブーな悪役と独善的で暴力装置である保安官がサイコパスキャラクターとして一つになっていく過程ージェームズ…

怪物

三島由紀夫の金閣寺がスタンドバイミーに変化していくTVの政治ドキュメンタリー報道番組の時代の移り変わりをプロパガンダと黒澤明映画の道徳観を何重にもリミックスしたような雰囲気で見せる。というアイデアは良かったが、のっぺりしたアニメ的あるいは電…

スバラヤ殿下

スバラヤ殿下 森繁久彌がmc ハマーやシャネルズばりのメイクで歌手デビューして原発汚染水を売ってる設定にやられたが、有島一郎や三木のり平も宍戸錠も高品格もスパイや殺し屋、工場労働者 役、馬淵晴子のバレリーナなども、とても良かったが、全体的に江口…

イタリアの麦藁帽子

ルネクレールのサイレント時代の到達点...という事で退屈な予感はしていたが、思ったほど眠くなる代物ではなかった。もちろん単調表現が多くて眠かったが。 良かったのは、アイズワイドシャットやバイオレットレジエール、吸血ギャング団。はてはファイトク…

レースを編む女

イザベルユーベールを初めて観た。あまり派手に綺麗な女優さんではないな。と思いながら観ているうちに、その独特の内向的な演技に魅力されていった。不器用でナイーブな男女の歪さがとても純粋で深いものに感じられた。時に七色に反射する宝石であり時に寡…

正しい日間違えた日

先に海辺に独りを見ていたので、過去に遡る形になったが、これはゴダールのアンナカリーナとの連作シリーズのホンサンス版であり、もっと言えば、ルネクレールなどのルミリオンなどのサイレント時代を引きずる追跡鬼ごっこ映画の系譜が監督と主演女優の恋の…

ヴィオレットノジエール

イザベルユーベールのレースを編む女があまりにも傑作だったので続けてみてみたがシャブロルにしてはダラダラと話が長くシャブロル特有のパキパキなダークな映像美ではあるもののイラッとさせられた。しかし、たった今ホンサンスを見終わってみると、この映…

カンウォンドンの力

最初、やっぱり猫が好き。みたいなヌルいホームコメディを観ている感じから、時々、顔を覗かせる いつもながらのホンサンスの黒沢清とSFサスペンスの混じったような画面から、セブンや金田一シリーズなどのサイコサスペンスやパルプフィクション的な交錯する…

夜の浜辺でひとり

人生から上昇気流や勢いがゆったりと失われて老いを受けいれていく瞬間をこれ程平凡にさりげなくダラダラと、それでいて映画的にくっきりと輪郭線を見せる映画があったろうか? ウディアレン インテリアを彷彿させながら、もっと引き込まれる優しい冷たさと…

豚が井戸に落ちる日

ホンサンス。というか韓国映画はキムギドク以外観た事なかったが、冒頭のハングル文字とホラーっぽい音楽からもってかれた。中平康や市川崑、小津の小品的な平凡な日常生活の中のホラー的な一瞬を切りとる感じが、少し前にみたロバートアルトマンのロンググ…

イメージズ

最後までみて、オチがサイコだったのは良かったが、あまりに技巧に走りすぎた感が鼻につき、好きにはなれなかった。どこか生きてる事に寒々しさを感じる。そんな映画だった あまり好きな映画ではなかったが、最近この映画がリリアンギッシュの風のリメイクで…

電光石火の男

まるで修学旅行の絵葉書か、葛飾北斎の錦絵のような古めかしくもダイナミックな構図のなかで赤木圭一郎、浅岡ルリ子、二谷英明、宍戸錠、白木まり、吉永小百合、杉山俊夫の恋愛模様がジグザグ交錯する。ヤクザ映画の皮を被ったウエストサイドストーリー系の…