映画の話

映画 覚え書き

妖刀物語〜花の吉原百人斬り

内田吐夢という事で、どエロ黒い話かと思いながらホラーばりの蚕機織り工場の千手観音っぽさや屋形船と花魁ダンサーズが交錯する水平移動のシーンに度肝をぬかれる。

木村功長渕剛ぶりaka 鼠先輩!と思いながら性盗鼠小僧ばりの立ち回りを観ながら水谷良重川島雄三の夜の2代目水谷八重子aka金太郎を重ねあわせたりしているうちに、全てを失って奉公人の披露宴を寂れた屋敷であげるシーンにギラギラした吉原の政治構造に自分が完全に呑まれていた事に気付き冒頭の産まれながらの顔の染みのクローズアップの意味に気付き不意をつかれて号泣。

片岡千枝蔵と山田五十鈴の主演と成瀬監督の鶴八鶴次郎や歌行灯をふいに思いだす。

 

この映画は、いわゆる群像劇で、複数の主役の主観で物語が語られるのだが、どの登場人物も常に背後で権力構造に踊らされて、本当の自分の能力や意志で自立的に人生を考えたり切り拓いていってるのでは無いのか?と自身に懐疑的になる面白さ。ーそれはつまり内田吐夢と甘粕中尉と満洲国の頃の日本や戦後の日米安保体制の自民党を連想させながら、見終わってみるとファントムオブパラダイスのようであった。

 

映画を観ながら、何度もお前は人生で一度でも一から十まで独力で物事をやり遂げた事があるのか?と問われている気もしたが、「いや、もう充分に日本國の為に働いてきたっしょ?今 映画を観てる間も身体もあちこち変やし」と思った