映画の話

映画 覚え書き

女体/増村保造版

オープニングの浅丘ルリ子クロッキー画像で埋めつくされた画面構成にどこか病的な呪術めいた如何わしさを感じたが、これは増村保造浅丘ルリ子という女優の魅力をどこまで引き出せるのか?といった増村保造の決意表明なのか?と意気込みを感じて、ど頭から興奮した。

 

映画が始まるといきなり浅丘ルリ子が机に齧りついたりーこれは井上梅次の夜の牙 時代のじゃりん子ちえ的な浅丘ルリ子のキャラ復活か?と思いながら観ていると、案の定、めちゃくちゃコミカルなのだ。しかし、浅丘ルリ子の一人芝居の後ろで微かに声が聞こえてくる。と思ってよく聞いていると学生運動のデモの演説なのだ。

 

どこか、疑惑の桃井かおりを思い出す。あれは松本清張原作のアメリカンニューシネマで感動したーこの映画における岩下志麻岸田今日子か?疑惑の岩下志麻はエロくなかったけど岸田今日子は他人の顔の看護婦のコスプレもしかりーエロいなぁーと思いながら見ていると、川津祐介が暴れ出したりー学生運動映画っぽいなぁーとなりながら徐々に加速度を増す浅丘ルリ子の過剰なコミカルな演技 sexチェック第2の性の緒方拳っぽいな。と思うと、

 

かと思うとたまに急にめちゃくちゃシリアスな芝居になるのだが、それが、とても怖いのだ。そんな感じで、黒沢清蛇の道。みたいなモキュメンタリー風味ホラー芝居が続くのだが、ふと海岸でずぶ濡れになりながらはしゃぐ浅丘ルリ子の赤いドレスを観ているうちに、今まで吉田喜重の水に書かれた物語の浅丘ルリ子とダブってみていたのに急に叫の湾岸の季節はずれのお台場冒険王のゴースト〜葉月里緒菜の赤い服がフラッシュバックしながら急にデビッドクロネンバーグのクラッシュのシーンになる。この衝突して壊れた車のフロントガラスの奥からアルジェント 三匹の蝿。→キムギドク 悲夢→ブニュエル ブルジョワジーの密かな愉しみ。→フェリーニ 81/2→ラング 怪人マブゼ博士。へと次次とカークラッシュのカットイメージがフラッシュバックしてくる。車内での密室殺人。そのイメージの源流はシオマドクの罠。なのだが、いずれにしても

 

画面が遠くの奥の奥のほうから四角い小さなフレームの中に収束されてく感じー京マチ子の風船みたいな終わり方?なのかな?みたいに観ているうちにマリアブラウンの結婚で終わる。......のだが、つまり伝統的ドイツ映画のシュレディンガーの猫的な量子力学的ー振動の箱的視点なのだ

 

映画はめちゃくちゃおもろかったです。

なんとなくジャックリベットの地に堕ちた愛みたいな傾向の演技と映画産業と映画の裏側と社会格差や差別へのイデオロギーみたいなのがいったりきたりする系の面白い映画であった。

いずれにしても国民的美少女として難関オーディションを突破し鳴物入りで芸能界デビューしてきた浅丘ルリ子が、現代でいうところの青山テルマやフワちゃんみたいな実写版ギャグ漫画不思議キャラのハシリとして、この映画で増村保造と共に作り上げた事がとても面白かったですが、

 

よく考えると赤い天使の若尾文子のゴスヒロインキャラの系譜である事にも気付く