映画の話

映画 覚え書き

夜の歌謡シリーズー命かれても

なんといっても、デパルマっぽい高速ズームとズームアウトの犯罪者ストーカー映画っぽい演出。それと伊丹十三の現実離れしたボンボン2代目社長の役作り。最後に、梅宮辰夫が色々な水商売や会社社長を騙して千切ってきた800万相当の小切手を「ちょっと、ホンモノかどうか?拝借」みたいな感じで手に取ってから、いきなりライターで燃やしてから、従業員を使って梅宮辰夫をボコって会社からつまみ出すシーンの非現実な役作りに、、むしろホンモノの御曹司はこういう漫画的な常識はずれな貨幣価値感を持っているのかも?て思ったりする。俳優としての伊丹十三は、情炎、偽大学生、黒い10人の女に続いて4本目だが、佐野史郎エドワードノートンなどの頭脳俳優。みたいな独特の現実と漫画キャラの中間みたいな役作りを面白く感じたし、そのような曲がり具合が後のマルサの女やたんぽぽ、お葬式などの社会派とサブカルの中間みたいな娯楽ダンディズムみたいな監督の流れの片鱗も見えて良かった。

伊丹十三が梅宮映画に出ることでカサバテス映画の雰囲気が増してくる
そういえば、お嬢様や2代目ボンボン社長の恋愛3角関係映画も色々みてる。増村保造の女体や吉田喜重のろくでなし。篠田正浩のわが恋の旅路とか。色々と見比べてみると、アバズレや2世社長や経歴の怪しい成り上がりへの世間への憎悪や偏見を、その俳優の解釈でアレンジしている事で、その役者の演技が思想になっている面も面白いな。と一瞬考えたものの、邦画自体には御曹司vs成り上がりの明日のジョー的 構図以上のものが見出せず、そう考えると初見、画面の動きがなくてつまらなく感じたベディデイビスの月光の女や欲望という名の電車のマーロンブランド。荒馬と女のマリリンモンローなど、アメリカ映画のこの手の映画に対するエグみは見応えがあるな。と思ったし、そういった流れがゲイパーティー系のトランスやテクノの選曲の流れに時節 垣間見えて、ドラッグクィーンのスソを引きずる。みたいな語源の意味も、アメリカのこういうノリと関連づけて、もっと掘りたいな。と思っていましたが、もう映画も観てる場合ではないでしょう。もし観るとすれば、ジョナサンデミの愛されちゃってマフィアも観てるわけだから、ボガードとローレンバコールのキラーゴーも見落としてしまったし、風とともに散る。は観てたわけだから。逆にローレンバコールとロミーシュナイダーの演技を見比べたりしても、アメリカとヨーロッパの違いとして、また新しい発見もありつつ、そこでもう一度 伊丹十三や浅岡ルリ子の増村保造的な思想を掘り下げた系の邦画の俳優のやり方を見比べていくのも面白いでしょう。
ただ、僕は、観ませんが。