映画の話

映画 覚え書き

夜の手配師

夜の手配師を見ながら、先ほどの喜劇列車の感想で渥美清とオードリーの若林の像と重ねたりhip hopスターと関連づけて色々調子に乗ってブーストしていた事が急に恥ずかしい...というより、背中に冷や汗をかきながら、同時に高校の頃、夜の街でハイテンションでベラベラ喋っていたら他の部活のラグビー部の後輩同士が暴れ出して完全に恐怖でフリークアウトしたりした記憶も混ざったりしながら、映画内で徐々に調子づいてやばい状況に追いつめられていく梅宮辰夫の姿に自分を重ね合わせて、とても良い緊張感で楽しめた。結局、この映画の冒頭の路地裏で梅宮辰夫がヤキを入れられる原因になる寸前のシーンに、最後に戻って「良い苦味のきいた映画やなぁー」みたいに東映らしく綺麗に終わると見せかけて、また調子に乗っている梅宮辰夫のシーンで終わる無限に失敗ループが繰り返されるチンピラ人生がこの歳になると、とても若々しく爽やかな読後感を感じられてとても良かった。
結局はもう失敗も出来ないし調子に乗ったら破滅する年齢なのだが、映画の中の夢の世界では無限に失敗して何度でも再出発して同じように過去を忘れてイキリ始める事が出来る。とてもフレッシュなのだ。そして、この映画はとても東映らしい松竹や日活の川島雄三鈴木清順の夜の女性シリーズとは違う種類の怜悧な艶めかしい表現もフレッシュだった。それは清順映画の白木まりや真里アンヌと、この映画での撮り方のズレを観てもわかりやすく楽しめる部分だと思う。