映画の話

映画 覚え書き

赤い夜行虫

前評判どおり、東映にしては纏まりのない駄作とも言えるけど、(これが村山新治なんすよ。9つの弾丸。あれもタイトなのに締まり無かったでしょ?そこの味ですよね?そこを味と思えるかどうか?ちなみに9つの弾丸が岡本喜八のあゝ爆弾くらいまでめちゃくちゃにすると、むしろ出鱈目すぎて締まってくる。もう一つは脚本家 橋本忍の存在ですよね?このような複数の話を一つに纏めていくスタイルとして橋本忍の存在があり、これがパルプフィクションやkidsに繋がっていく。いくわけなんですが、僕はやっぱり9つの弾丸より砂の器や黒い手帳のが好きかなぁ。砂の器は脚本橋本忍で原作松本清張のコンビ。話しはそれましたが結局、村山新治パルプフィクションやkidsを通して、岡本喜八の嗚呼爆弾に変化する事でマルクスブラザーズに近づいていってるっすね。そんな訳で今開催されている小林信彦プレゼンツ特集に繋がっていく訳ですけど、実際には観ないですよ。そんなに映画観れる筈はないですよ。ただ、今月末までの特集なので、一本くらいは?…しかし、観たら観たで一本という訳にはいかなくなってくるんでしょうな?いや、誰に?誰に了解得ようとしてんの?社会?世間に?自分で考えて、自分の理性で止めんと。理性あるんやろ?)僕はラリークラークのkidsを先取りした映画のようにも思えて、とても楽しめた。要するに、溝口健二祇園の姉妹祇園囃子。赤線地帯。夜の牝犬や牝犬、あとジャックベッケルやマックスオルフュスやシャブロルの雌鹿など。(こういう風にフランス映画を思い出してみると、東映のモノクロ映画の色味はフランスのギャング映画の感じなんだよな。ガラスの景色の反射とかをめちゃくちゃ綺麗に撮ってたりとか。クレーン撮影の感じとか。まあそういえば清順もそうなんだけど、日活の清順と違って血や汗を感じさせない涙とかヒンヤリした感じのブルーな画面の内容というか。ただ、画面のグレーの色味自体は赤っぽいんだけど。そこが不思議なところで清順の日活は血や汗を感じさせる割にはモノクロの黒の部分は青みがかっていたような気がしたんですよ。青い乳房とか暗黒のパスポートとか見直してみたい。いや、暗黒のパスポートの岡田真澄はこの映画の谷隼人を連想させるし、やっぱり、あの映画は中期 東映っぽい映画だったな。田崎潤が河内清三郎と被るし。そういう風に考えると葉山良ニは日活っぽい2枚目だし、梅宮辰夫は東映なんだよな。で清順も東映映画もジャックベッケルの影響受けている部分あると僕は思うんすよ。そんな感じでタケシの初期作品見直してみるのも良いっすね。いや、そういう風に考えると、先月の松田優作特集の蘇る金狼と野獣死すべし。もやっぱり見たかったなぁ...。先週の若松孝二唐十郎のやつも見送ったし。いや、映画観てる場合ではないし、実際に観てないから良いんですけど、やっぱり観たかったし、見落とし続けてるんす。)の芸者や水商売もののシーンを合成して、アメリカのスケーター映画を作っている不思議さがあった。あと、よく考えるとエドワードヤンの恋愛時代みたいな感じに被っていって、その男凶暴につきの冒頭に入ってくる感じも良かった。結局、ロバートアルトマンとか死刑台のエレベーターとかパルプフィクションとか、いくつかの群像劇が組み合わさって一つの話に集約されていくーキッズやエドワードヤンの恋愛時代もまさにそうだしーんだけども、一個一個の小噺がぶつ切りされたり、思いっきり引きでとってる感じもあって、それがサイレント映画の儚く人生の時間が日々散ってゆく雰囲気を醸し出している良さもあった。