映画の話

映画 覚え書き

12月第一週

一昨年のシネマヴェーラのロマンポルノ特集を初めて観た時は、正直エロくないし暴力描写に迫力もないしで拍子抜けした。しかし、今ロマンポルノ特集を観ていると、画面ごしの男女がやたらにsexへの執着心や他人に拒絶される事を過剰に恐れるナイーブな様に愛や生命力を感じ、とても眩しく感じる。周りのお客さんも疲れ切ったオッさんや老人ばかりの映画館で。

ふとブローディガンの西瓜糖の日々の鱒と墓の章を読んでいて、コインロッカーベイビーズが浮かんできた。若者の恋愛や権力への執着と老婆のノスタルジーと、それを触媒にしただ生き続ける事のみの生への執着心を繋ぐ線が死への遠近感。これがスペードの女王という映画だった事に今気付いた。

そして、プーシキン原作のスペードの女王まで観ると、ピーターローレとプレミンジャーの罪と罰も見たくはなるものの、このように追いかけだすとキリがないが、「罪が無ければ罰を与える愉しみもない」というフレーズが今はっきりと認識できている「若さと老い」。そういえば、アルトマンのロンググッドバイのパノラマ的な遠近感を過剰に強調した画面もざっくり同じテーマだったと気付いた。だから、プレイヤーと罪と罰。そしてMがなんとなく近づいていくのだ