映画の話

映画 覚え書き

好人好日

この映画は、ドクタースランプアラレちゃん。の原型のように思えつつ、松本大洋花男的なとこもあるし、岩下志麻は手塚漫画の美少女っぽいフォルムがあるし、淡島千景乙羽信子もその世界観を補完する感じで凄くピッタリのタイミングで調子を合わせにきている。その世界観を補完する形で笠置衆が毎回 物語のちゃぶ台をひっくり返しているのだ。なんとなく大竹まことのラジオにおける大竹まことのハルナアイのいなし方に通じる感じもありつつ、天才マックスの世界蛇の道の数式の板書のシーンを思い浮かべつつ、このキャラは中川信夫姿三四郎の笠置衆の先生役に近いな。と思ったり

 

渋谷実は、最初に観た悪女の季節がつまらなくて、その次に観た「てんやわんや」「現代人」とどんどんハマっていったが、この作品も鬼才の名にふさわしくサイレントコメディよろしくどんどん物語の場面や時間軸がフレームアウトしていく部分とダグラスサーク的な典型的なアメリカのゴシックメロドラマを和風にアレンジしていて素晴らしかった。

オープニングのメロドラマから急に転調する不穏な音楽。淡島千景乙羽信子の貸間あり。からの歳月の流れと開いていく友人から娘弟の保護者同士という距離感の時間の流れ。川津祐介岩下志麻の結婚式結婚式。寺谷修司原作の我が恋の旅路。笠置衆と東野英治郎の陸軍。岩下志麻長門浩之。中村登の古都、暖春など数多くの映画のパロディもまるで絵葉書の一コマのように随所に散りばめられていて最高だった。

また、淡島千景乙羽信子岩下志麻の艶のあるコメディアンヌぶりも堪能でき、今まで観た岩下志麻作品の中で、心中天網島と同じくらい最高であった