映画の話

映画 覚え書き

11月第一週目

中川信夫姿三四郎があまりにも良くて、以前に鈴木清順特集を観ていた時に夏目漱石のこころが浮かんできたのだが、夏目漱石の80sっぽさというのは、明治文學というものが大正という戦争が近づく不安定な世界情勢下におかれた時代から省みると、あまりにも楽観的な青春群像のイメージがそのまま学徒出陣という昭和初期の国内情勢になった時のノスタルジーとして、または敗戰初期の未来への夢や希望としての学問。または文學であった。というー回想自体は渋澤龍彦私の少年時代〜からの受け売りであるがー事を中平康の女の渦と淵と流れや中川信夫憲兵と幽霊。石井輝男の黄線地帯とイメージを繋げながら、オタールイオセリアーニー監督の四月や落葉。または小林旭の夜の勲章や安藤昇の密告らのズブズブのノワールと併せて鑑賞できて良かった。

 

なんとなく久しぶりにフランキーナックルズのゆるい流れのハウスを聴いてみると意外にもそのような気分とマッチし現在進行系で起き続けては自然消滅したりもする日常のさまざまな憂鬱を忘れているようなフリができた。さりとて完全に忘れて音に没頭出来る訳でもない。そのような夕焼けの焼け野原で口ずさむ口笛のようなハウスの数々がフランキーナックルズだ