映画の話

映画 覚え書き

濹東綺譚

金稼げない真面目な男が女遊びなんかしてる場合じゃねえだろ〜。みたいな感じでイライラして出だし見てたら、予科練とか学生の竹槍訓練。挙句に空襲警報とか始まりだして神経が途端にシャキッとした。

出だしの遊郭の街の描写に、川島雄三の青ベカ物語っぽい下りも良かったし、東野英治郎予科練の竹槍訓練風景を観ながら「ワンス アポン

ア タイム過ぎし日よ」みたくあまりよく聞き取れなかったが英語と俳句を混ぜた台詞を眩しそうな顔で語る昔の夏目漱石とかの文芸大作のノリのシーンなども良かった。結局、時代劇、文芸大作、戦時中の話、など古い映画にハマりだすと、俳優の追っかけからはじまり、徐々に古臭い台詞や仕草フェチになっていって自分もシームレス老人化していくのだろう。

とにかく新珠三千代山本富士子が綺麗で、80〜90年代の芸能人とかグラビアアイドルとファンの追っかけ=赤線みたいな文脈で映画が進行しているせいで、さっきのアングラアイドル映画の記憶と戦時中の話が頭の中でごっちゃになってサイケな感じだった。この映画で赤線アイドルをしていた女性が戦争が激しくなると満洲に送られて、鈴木清順の春婦伝や増村保造の赤い天使みたいな運命を辿るのか?と考えると、今もたいして変わらない自民党の政治家の先生方や日本社会のマイノリティ処理にゾッとさせられつつも特に私に何か出来る訳もなし。粛々と段階的に人生を受け入れていく他はないだろう。