映画の話

映画 覚え書き

大阪の宿

佐野周二のエリート童貞公務員 石田純一ハーレムもの。とんかつ大将と同じだが、こちらは五所平だけに重くて暗い。まずは乙羽信子の綺麗さが目をひくが、五所平組女優勢揃いの暗さの中にコミカルな話芸の応酬。軽さと暗い重さがピンポンのように行ったり来たりするなかで佐野周二のウエットな童貞左翼貧乏王子様の優しさに群がる苦労人女達の華やかさと、その柔らかい雰囲気を一瞬でぶち壊す佐野周二のボンボン無神経ヒューマニズム発言コントが何回でも繰り返される。五所平らしいメロドラマだな。と思った。

若い頃は、というか本質的に佐野周二みたいなキャラだったので、川島映画や成瀬の驟雨など、俳優 佐野周二にのめり込んでいた時期もあったのだが、最近は悪いことばかり起こるようになって、そうすると佐野周二の貧民街の王子様みたいなキャラの無神経さにゲンナリしてしまったし、映画の最後の佐野周二の送別会で女性皆んなの顔がゲンナリしているシーンを五所平は舐めるように撮影していた。

その点、川島のとんかつ大将は、どこまでも藤子不二雄ランドで良かった。