映画の話

映画 覚え書き

悪意の眼

とにかくステファーヌ オードランが素晴らしい。美人と骸骨と機械。そして母性。

序盤のチェスのシーン。チェス盤の部分が脳みそになっているし、オードランの美脚の部分が骸骨の鼻になっている。猟奇とエロ。そして友情。

 

終盤の遊園地での不倫現場を隠し撮りするストーカーシーン。シオマドクとウルマーの日曜日の人々の序盤のシーンだな。と思いつつ、(おそらくナチス政権の前と後の時代の心象風景の対比の暗喩-表面上は何も起こっていないような、ただ確実に変化してしまった何か)電車やバスの移動中に映る鏡ごしに盗撮している為、外の景色が乱反射して映りこんだり。静かで綺麗だが、何処かスピーディーで気狂いじみたこの作品の全編を通した時間軸の集大成になっていた。

 

最後の旦那に殺される寸前のピカソの絵。鏡の前の少女だが、今までピカソなど1mmもわからなかった自分だが、鏡を余りにも見過ぎていた為に少女の内臓や顔半分の皮膚の筋肉がヘルレイザーっぽく見えてしまっていて、その絵がアフリカっぽいテイストである為にvoodooの呪いっぽくなっている。のだが、今回 何週にも渡って折に触れ松本人志ゴシップについて話している内に、むしろ松本人志本人の事情など全く関係なく自分の性的不能ぶり社会の未成熟ぶりを熱く語ってしまっていた時間軸だったーみたいなマスメディアによる政治的ガス抜きーこの映画は(ー表面上は単純なヒッチコックのめまいオマージュの形をとりながらー)とても機械的でエロくてサスペンスで寓話的でもあり見事な映画だった。

 

シャブロルとか初期のエロ要素強めのジャロのルチオフルチに比べると、クロネンバーグのメカニカルなエロは全然弱いんだよな