映画の話

映画 覚え書き

拳銃魔

最初は、ノワールなのに小学生がはしゃいでる映像ばかりが流れてきて、相米慎司の台風クラブみたいな感じがした。

 

ウィノナライダーのヘザーズやジュリエットルイスのナチュラルボーンキラーズと印象がだぶる。主演のペギーカミングスがサーカスの拳銃ショウで登場する時、童顔の顔にピエロの影が強調されているのだが、背中からのカットに切り替わった時にラテックスっぽい革バンとライダースのケツと背中のラインのとこが身体にピッタリフィットして照明の照かりでラインができていて、この歳になると色気を全く感じない潔癖で短気で忍耐力がないゆえに童顔な女が若く性的に真面目な20歳くらいの男にとってめちゃくちゃミステリアスでやらしくー時として聖女にさえ見えるーポイントを上手く表現しているな。と思った。

 

この映画は、ペギーカミングスの性的な魅力というよりも和泉元彌似の一部上場企業のそつのなく道徳心の強めの青年の生活バランスが徐々にこの童顔小悪魔 一部エクソシストの子供っぽい顔ーのペースに引き摺られて生活習慣がめちゃくちゃになっていく中で、どこまで生真面目な雰囲気や倫理観だったり育ちの良い男の輪郭線を維持できるか?みたいな不揃いのりんご達の中井貴一的なところに性的な興奮やカタルシスを覚える系のロマンスで、僕は途中にもってかれて号泣してしまいました。場末のリッチ感。ポン中上級者がポン中初心者を遊ぶ感じというのはおそらくこういう感じかな?と少し思ったし、これがハリウッド映画の逆トロフィーワイフとか逆バービー、逆レクレイムフォードリームみたいな価値観やアメリ銃社会の話にもリンクしていて、90年代ハリウッド映画として、とてもカッチりした雛形になっているな。と思いました。あと、画面が四角形を強調していてLEGOっぽい感じもこの映画の魅力を増しているな。と思いました

この映画の魅力とは、若くして世間を知り過ぎてしまったがゆえに自分の魅力が若さだけだと気付いてひたすら暴走するアバズレと、世間の事を歳の割に何も知らない上品で真面目さが取り柄の童貞が初めての盲目的な恋に突っ走りながらも何度も引き金を引く寸前で神への信仰心ゆえに躊躇する完全にブラック零細企業的な誤認識ゆえに固く結ばれたカップルが作り出す愛の逃避行という名の時間的な銃弾だ。

 

途中にモンテヘルマンの断絶におけるウォーレンウォーツとほぼ同じ台詞を喋るカモがでてきたのもスピンオフという感じで良かったし、そういえばwandaのミソジニストの主人公が憧れる理想像がペギーカミングスのこの役の女という気がしたし、そうするとアメリカンニューシネマ前 中 後で、拳銃魔 wanda トゥルーロマンスと綺麗にスピンオフしてゆく。おそらくハリーアンドサンとライフアクアティックのラインの元となる何かしらの古典映画も存在する事だろう。ジャイアンツか?捜索者?黄色のリボンか?それらだとあまりしっくりこないな。ただ、ジャイアンツと風は綺麗に繋がるな。こういう風に考えていくと昭和女子みたいな感じで昭和の風景の前で昭和のコスプレして写真撮ってる人の意図もなんとなく見えてきたな。市場が歴史における時代の文脈性を意識しはじめた。みたいな事でしょうし、ますます他人がsnsで話している事の意図がわからなくなっていきそう。要するに昭和気分の文脈の続きで令和の映画を撮りましょう。ごっこみたいな気分でインスタあげてる人に「昭和の時代わなー」みたいな感じで撮影現場に偶然に通りかかった昭和おじいちゃんの一般人が絡んでいって...これ寿司屋の話でもそうだし。そうすると、村上龍昭和歌謡大戦争。だいぶ時代を先読みした小説でしたよね。しかし、良く考えるとイザペルユペールのレースを編む女。まさしく、それを映画化して、なおかつ絵やユペールの演技が中世のフェルメールみたいな重い油絵っぽい画面になってるの、さらに先読みしていたな。と思ったっすね。それら全部含めて、異人達の夏で、牡丹灯籠で耳なし芳一でロンググッドバイなんだという。だから、結局、師匠の談志はTVの設定したフレームがうぜえ。ってTVでなくなって小泉今日子もたぶんそうだとすると、志らくはTVのフレーム大事にしてきますよ。芸人なんだ。と自分で言ってるという事は、これからTVが時代の風見鶏で次々フレーム設定を変化させてく場合に、どこまでもフレームに合わせて伸び縮みしていくから、初期のバスターキートンとかピエールエテックスみたいなパントマイム系の人になってくとすると、現在の志らく師匠のパントマイム的な顔芸路線と確かに符号している。ブレていない。これにて一件落着ぅ〜。これで、だいぶフイリッツラングMと2pacのget aroundとコミック雑誌なんか要らないもだいぶ繋がってきた。後、第2次世界大戦中は各国がメディアにおける大衆コントロールー放送コード規定をガチガチにしていると同時に国家間ではスパイによる軍事兵器の暗号解読が行われていた背景を考えながら、久彌十蘭の怪奇探偵物を読むとまた趣も変わってくる。