映画の話

映画 覚え書き

アストロイドシティ

アストロイドシティ、宇宙人のとこがムルナウやラングのドイツ表現主義やジョルジュフランジュっぽいヌメッとした造形になっているのが良かった。

グレイスエドワーズ。サザエさんの花沢さんみたいな感じなのに身体はムチムチしている。みたいなキャラ造形がアメリカンスクールに通う帰国子女マドンナ。みたいな感じで、今一度バービーボーイズで踊る台風クラブ大西結花や飛んだカップルの鶴見辰吾薬師丸ひろ子藤田敏八リボルバー市川準のb.u.s.uなど日本のアイドル映画との差を見比べて観たくなる。渋谷実の好日好人の笠置衆がトムハンクスやマッドディロンに思えたし、スカーレットヨハンソンやマゴットロビーが初期の岩下志麻乙羽信子的になってくるとは思わなかった。

エドワードノートンはいつの間にかアメリカを代表する俳優になったんだな。と思った時に、デビュー当時トムクルーズとかに比べて日本人っぽい挙動だな。みたいなイメージがあったものの今観ると完全にアメリカ人っぽい喋り方というか。日本のアメリカンスクールに通ってる人の喋り方というか。未だに初期のファイトクラブのイメージを引きずり続けている自分がいて感慨深い。人によってはアメリカンヒストリーXのいかついイメージだろう。しかし、マットディロンが三船敏郎やトムハンクスが笠置衆。エドワードノートン。スカーレットヨハンソンが岩下志麻。グレイスエドワーズが小泉今日子的に自分の年代のハリウッド映画らしい役者が全てそのままの個性で小津カラーと80年代の日本のTVとサシャギドリっぽい世界観に塗り替えられてレゴっぽいアメリカ映画史が語られている事に、ただただ日米安保がもたらすバブル時代の平和な経済的繁栄。といったような80年代〜90年代の青春時代のどこかアンバランスな未来に対する焦燥感と異様な心地良さがあった。

何かが気持ち悪い。と思いながらTVの世界や芸能界。バラエティ番組を疑いもなく親近感を持って楽しく観ていた80年代頃の旨味エキスがつまった作品が、ウェスアンダーソンのこの作品という気がする

 

結局、グラマ島の誘惑やスバラヤ殿下みたいな政治意識というスパイスを被せた完全ちびまる子ちゃん 和風ブラックコメディが好きで、オマージュを捧げたのか?と思いつつ、出来上がった作品は紛れもなくアメリカで何処にも日本の風景はなく、その点 日本人には感情移入しずらく違和感があるのだが、それを含めてとてもこの監督の味になっているのだ。

米軍基地の中の風習が日本社会の構造自体を江戸時代的殿様トップダウンのギスギスしたものからリベラルなものに変えていく。その先にあるものがアメリ国防省の中央コンピュータネットワークチームとNASA。みたいな無機質なものだった。みたいなテーマは、戦場のメリークリスマスの雰囲気に近いのかも知れないし、もっと遡っていくと浮雲に行き着くかも知れない。

犬ガ島も見てみたいと思わせる作品でもあった