映画の話

映画 覚え書き

君も出世できる

私と私で中尾ミエのロカビリーというかドゥーワップっぽい歌と踊りを観てから、なるべく中尾ミエが出演している映画はチェックしているが、90年代 ボビ男くん世代の人間には刺さる映画だと思う。当時、友達の家でクリスクロスのMTVを何度も逆再生して足の動きを完コピしようとしたステップをフランキー堺がしていたのにも驚いたし、中尾ミエの滝蓮太郎みたいな童謡がアメリカのコーラスグループのような節回しで歌われているのを見れただけでも元がとれた。

基本的にクラブに入り浸るような高校生ではなかったが、部活を引退する直前の夏休みに初めてバイトを初めてバイクを買い、そのバイトで知り合った高一の娘で童貞を捨て、その娘がジュリアナやゴールドに行くようになって、すぐ捨てられた。その為に、sexのセンスがない事とクラブに入り浸ってない事が脳内で勝手に関連づけられ、sexも出来ないしクラブでも踊れないし音楽も良くわからないのに、無理矢理に竹の子族みたいな変な踊りをしながら無理矢理クラブに行ったりしていた。

そんな頃の自分の雰囲気を思いっきり出しているのが、この映画の高嶋忠夫なのだが、不思議とハリウッドスターのような華がある。高嶋忠夫は不思議な役者だ。鈍臭いのにめちゃくちゃ華がある。そんな訳で高嶋忠夫映画を見ているうちに高嶋忠夫にもハマっていく。特に珍品堂主人の高嶋忠夫も森繁久彌も良かった。朴訥とした青年でありながら意外に計算が早い高嶋忠夫と、しみったれたチャラ男のくせに金銭感覚がガバガバの森繁久彌。およそ、実人生では主導権を握れない人生灰色のつまらない男達が映画内ではハリウッドスターのように華があり人生にドラマ性がある。

最近ツイッターをみていると、当時ボビ男くんでホストのレイジみたいだったような奴が、すっかり家族も出来て丸くなって、昔から高嶋忠夫とか中井貴一みたいな鈍臭い真面目だけが取り柄の学生でした。真面目こそ正義やぞ!みたいな雰囲気で呟いているのを見ていると、人の発言の複雑さとsnsのリアルを感じます。