映画の話

映画 覚え書き

境界線

説明するのもダルいぐらいの諜報戦映画の傑作。いちいち画面の流れを記憶するのもダルいぐらい瞬間から瞬間に話にのめり込んでいけた。ここまで話にのめりこめた映画はいつぐらいぶりだろう?

 

今まで観たどのシャブロルも他のシャブロルと同じではない点も凄い。観る度に違う皮が剥けた新たな水平線のサスペンスが出てくる。まあ、よく考える訳でもなく大寺さんが厳選チョイスしたシャブロル企画を毎回観ているから、そのような状態ー映画体験ーになっているだけなのだが。

 

申し訳ないが、シャブロルに比べると黒澤の羅生門の物語の組み立ては酷かった。

 

ただ、日本人なので、未だに羅生門がシャブロル3作品に勝てる部分を無理に探そうとしている自分がいる。なんとなく黒澤を否定する=日本を否定する。みたいな後ろめたい気分にさせられるのが黒澤映画だと思う。千葉泰樹の三船を観ると黒澤映画での幼稚な演技をする三船はいない。だが、あの小島よしお的な三船の演技を大画面で観る事が黒澤映画の贅沢な部分という気もする。そして、それはフランス映画で言えばミッシェルピコリのちいかわ長渕を観るような国民的行事という気もする。