映画の話

映画 覚え書き

みれん

ただの不倫映画なのに、新東宝系の幽霊怪奇映画の手法で撮られているせいで、不倫している生活が死後の世界みたくなってて、不倫しながら中代達矢役の燕と逢引している場面が死後 幽霊がみる生前のフラッシュバックみたいな、怪奇すぎる絵の普通の恋愛ドラマで、黒沢清岩井俊二映画内のアニメっぽい表現の大元という感じで、とても良かった。

同じ池内淳子主演の似たようなキャラ設定の川島雄三 花影と比べてみるのも面白いかと思いました。

 

とにかく中代達矢の常に小綺麗にしようとしてるのに何処かおどおどしていて、どんどん溢れ出す不潔感に元気に働いていた頃の自分の姿をみたし、中谷昇や加東大介を学生時代から六本木や渋谷のクラブで遊んでいるチーマー。西村こうや山岡久乃を職場やバイト先の地元のヤンキーの同僚。池内淳子を、やたらにこちらを蔑んでくる一流商社の合コン好きの女子。みたいに考えるとオタク諸君もわかりやすく鑑賞できると思う。

 

思うに、よい歳をして聞いてもないのに真面目な人に向けてネチネチネチネチと延々とワルをアピールをし続ける男は女でいうと泥沼不倫を繰り返している状態だし、よい歳をして結婚できない女にいつまでも未練たっぷりまとわりつく奴=男妾なんや!みたいな視点を故瀬戸内寂聴先生が我々に教えてくれているんやでB boyパーク!という「こんなん出ました〜ムービー」でございました。

 

私も、若い頃から自分の中からどこまでもどこまでも湧き上がってくる謎の不潔感を嫌悪し、色々と誤魔化しデオドラントし続ける人生でしたが、最近ようやく無くなってきたな。と思ったら身体が常に具合悪くて、不潔感=生命力=金玉袋の中に閉じ込められたパンパンの行き場のない精子やったんやなぁ。などと、この映画を観て気付いた次第です。しかし、今後は死臭という不潔感を誤魔化していかなければならない訳で...はてさて前途多難な天竺の旅。いったいどうなることやら...(マチャアキ西遊記のナレーションで)