映画の話

映画 覚え書き

秋津温泉

秋津温泉。バラナシのワンスアポンナタイム アメリカか?と思いながら見ていると、清水宏の簪や按摩と女のカットとダブったりしつつも、後半のカメラの前の大きな木の前で岡田茉莉子がイタズラっぽく日舞のように長門裕之の前で一回転するシーン自体が眼の構図になっていてダリオアルジェントのサスペリアオペラ座血の喝采から祇園囃子若尾文子日舞の合同稽古のシーンに被りはじめたところで、この映画が同じ溝口の雪婦人絵図の撮られなかった全てのショットで構成されている映画だと気付いてハッとしつつ、最後は一番最初のアメリカンニューシネマであるフランス映画 クルーゾーの情婦マノンのラストシーンの反転したシーンだと気付いて、この映画の頭から終わりまでの戦後50年の時間が無効化して大正デモクラシーの中で永遠に停止する、まさに吉田喜重だった。

途中の新聞記者役の吉田輝雄長門裕之を人間のクズみたいな眼で鼻を膨らませながら見る演技も良かった。その為だけにチョイ役で登場している吉田輝雄の贅沢な使い方。

 

とにかく岡田茉莉子の魅力が全開の映画でございました