映画の話

映画 覚え書き

執炎

この映画は、画面で起こっている事よりも画面で起こっている事を背後で突き動かす超自然的な何かを撮ろうとしている悲劇の恋愛メロドラマ映画なのだが、もちろん凡人の俺にはそのような画面を超えた画面上に映っている背後の闇の力など画面上で認識できる筈もなく、あちこち探しているうちにかなり眠くなってしまった。

 

しかし、この映画で芦川いづみ浅丘ルリ子伊丹十三という、国民的美男子&美少女キャラでありながら どこか虫っぽい雰囲気もあるせいで画面の奥行きが凄い感じになっている。という常人では醸し出せない雰囲気をバチバチに醸し出せる3人の天才役者によってしかありえない映画にはなっている。この虫表現はドイツ、台湾、フランス、イタリア、中国映画にも見られる表現だが、ハリウッド映画だけは意識的に避けているようにも思われる。

しかし、映画館では一本目の秋津温泉が強烈すぎたり二本目で集中力も切れ、昨日の怪談雪女郎の新東宝系の妖怪映画イメージに引っ張られて混乱したり全てが虫っぽい説教臭いメロドラマみたいな感じになっていたのだが、帰宅して3〜4時間経って家事などをしていると、ムーディーマンとかjeff millsみたいなダークデトロイトテクノやダークシカゴハウスみたいなゴスペルにダークソウルとテクノとかハウスが混じったような感じに浅丘ルリ子とか伊丹十三の顔のアップが重なってきて宇宙と耳なし芳一みたいなイメージに置き換えられ、意外にこの映画を見といて良かったな。と今は思っている。観た直後は頭が混乱しても、めちゃくちゃに観た方がやはり良い感じでマッシュアップされていくような気がする