映画の話

映画 覚え書き

吸血鬼

最初は、マリオバーバの処女作にしてイタリア発のホラー映画という事で観ていたが、画面が白黒だし迫力もなく眠くなってきて腹がたった。この映画は、欲望という名の電車みたいな話でお屋敷に住む婆あが若い娘を攫ってきて生き血を抜き取り、常に叶姉妹みたいな美貌をキープしてお爺さんの代から片想いしている若い孫の刑事を落そうと日々悪戦苦闘している。みたいな話なのだが、登場人物 全員悪人ならぬ神田伯山先生のテンションで物事の判断力は松岡修造。という、最初はこの誰一人としてお互いにコミュニケーションがとれていないイタリア映画のテンションについていけずダルいのだが、次第に全員がハイテンションのパワー系あほ過ぎて人体実験を繰り返している江戸川乱歩系怪人お婆ちゃんのホラーキャラが食われていき一般市民として扱われるようになっていく過程でめちゃくちゃ面白くなっていく。最終的に事件が起こる度に背後で黙って怖い顔で峰竜太みたいな顔をしてずっと話を聞いている警察官を観てるだけで腹筋崩壊しかけるくらいに可笑しくなってくるのだが、映画館の誰一人笑っていなかったので、僕もずっと我慢したし、とても疲れました。

最期は墓地の棺桶から救い出したヒロインにキスしてる横で医者が「棺桶の中だから死にかけてましたが、なんとか息してて良かった」の台詞でニノロータ的な甘い曲が流れるのだが、このコテコテのギャグホラー映画の落ちとして、とても綺麗なオチだなと思った。

 

話は逸れるが後期マリオバーバの血みどろの入江などの奥さんが保険金殺人だかがバレそうになってさっき森で殺してしまった男の話をしてる時に、ずっとカナブンの標本を作りながら相槌をうっている旦那。というグロいシーンもイタリア映画特有の伝統に基づいたギャグだったのか?とふと思う

 

以前観たロッセリーニの男にモテまくる女の顔のサイズというか各パーツが美人にしては少しデカすぎる女の話も面白かった。普通に恋多き女が色々な人間関係に疲れて自殺して終わる話なのだが、話自体は奇を衒ったところがないのに顔のサイズがでかい事で全てのシーンに不思議な面白みがでていた。

これ一本でイタリアネオリアリズモ財団貯蔵特集も終わってしまったが、猿女とか私はローマを歩いた。も見たかったなぁ