映画の話

映画 覚え書き

階級関係ーカフカーアメリカ

最初のカフカの成功したアメリカ移民の叔父の成功体験を表すのに、埠頭倉庫街の光る窓を単調な横移動で撮ったり、上流階級の屋敷に招かれた時のそこの屋敷の一人娘との痴話喧嘩もサリンジャーとか女相続人みたいなアメリカ上流階級のイメージをピアノやキャットファイトっぽい感じで概念化してたり、リムジンの車内をクロネンバーグのゴズモポリスっぽく魚眼レンズで斜め下のショットで撮ったり、精神的重圧と高揚感を顔の影が宇宙人みたいに横長になってる事で表現したり、アメリカ社会の立場は人脈で決まるんだ。みたいな説教をされてる時に必ず星条旗の曲が流れたり単調で無機質なコントだが絵がめちゃくちゃカッコいい。やはり、初期のコーエン兄弟やドライヤーを見比べる事でアキカリウスマキも浮上する。社会派コメディと北欧家具が繋がる事でまたフィルムグリに戻れるし、そこからまたrootsとかトライブとかラップを聴き直してみるのも、また一興だろう。そういう意味で、ホンサンスのTLCの入れ方は上手かったし、リリーさんがスナックラジオでnew jeansとボサノヴァの話しかしてないのにホンサンスの夜の浜辺でひとりが浮かんでくる感じとかも凄かった。そうやって話してない事の暗示に色々気付く。というか、勝手に暗号を読み取る喜びを知る事で電波系トランプ陰謀論おじさんになっていくんやなぁ。

 

ラストも再就職して僻地に送られる辞令からの、車窓からの沼の風景が流れ続けて、ドイツ語の掠れた活版印刷のアルファベットがタイトルバックが出るシーンも凄く良かった。

 

ストレンジャーパラダイスとかデッドマンとかジムジャームッシュをもう一度チェックし直したくなるし、この映画のリメイクでオーソンウェルズ バージョンもあってそっちはイマイチだったけど、ともかくアメリカの寂れた映画館でダラダラと観るのに適した映画だと思った。仕事をサボって映画館に来たら映画の主人公が人生の目的を失ってダラダラサボっていた。みたいな系譜の映画にカフカっぽさも混じっている。みたいな映画だと思う。だけでなく2000年代頃 日本やアメリカで大量生産されたセックス アンド シティ系のホワイトカラー仕事や恋愛のルッキズムドラマ モテキとかも全て元はカフカの虫がモデルなんじゃないか?みたいな気にすらさせられたし、さっきマジカルラブリーのラジオ聴いててゲストに来てたゴージャスさんて芸人さんの喋り方 昔のEXILEみたいだし、EXILE君が世歌ってたし。って思った時に物語のbpmスピード上げると文學になるのと、美声でめちゃくちゃ馬鹿な事言ってもそれなりに寒くならずにかっこよく聞こえる現象ってほぼ同じなのが、なんか面白いな。と思いました、

例えば矢沢永吉藤井フミヤk dub shineみたいにシームレスにスピードつけてモノマネすると、声の特徴から思想みたいなもんが滲みでてきたりするのかな?だとすると面白いかな?とかも思いました。